読書ノート「フィードバック入門〜耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術〜」

基本情報

  • 著者:中原 淳(東京大学准教授)
  • 出版社:株式会社 PHP研究所
  • 出版日:2017年3月3日
  • 読了日:2019年2月25日

概要

人材開発の第一人者が語る。コーチングともティーチングとも異なる日本ではあまり知られていない最強の部下育成法。その名は、「フィードバック」

印象に残った言葉や表現

若い部下が育たないのはマネージャーのせいではない

若い部下が育たないのはマネージャーのせいではなく、職場環境の変化によって構造として生まれている現象。昔は「長期雇用」「年功序列」「タイトな職場関係」と若い部下が育つ環境が揃っていた。バブル崩壊により、それらの環境が崩れ、さらに組織のフラット化により中間管理職(階層)が減った結果、新人マネージャーがいきなり10人以上の部下を抱えることが多くなった。

中間管理職は他者を通じて物事を成し遂げなければならない

中間管理職の仕事の難しさは、一言で言えば「他者を通じて物事を成し遂げなければならない(Getting things done through others:クーンツとオドンネルらによるマネジメントの定義)」ということ。別の言葉で言えば「仕事を任せても、放置せず、他者に成果をあげさせること」。人材の多様化(ダイバーシティ化)により、一口に部下といっても元上司、派遣社員、外国人など、様々な違いが顕在化してきている。マネージャーは、個々の価値観の違いを理解しながら、それぞれにコミュニケーションの仕方を考えなければならない。

部下育成は「経験軸」と「ピープル軸」で考える

「経験軸」とは、「部下を育成するためには、実際のリアルな現場での業務経験が最も重要である」という考え方。経験を重ねた業務(コンフォートゾーン)だけでなく、ストレッチゾーン(挑戦空間)に位置する業務を任せる。「ピープル軸」とは、「人が業務請負の中で成長するのは、職場の人たちから、さまざまな関わりを得られたときである」という考え方。マネージャーは、職場の人たちから部下に対して、業務に関する支援、客観的な意見、励ましなどの支援を受けることができる環境を作る。

フィードバックには事前の情報収集が最も重要

相手に刺さるようなフィードバックをするためには、「できるだけ具体的に相手の問題行動の事実を指摘すること」が必要。そのために、事前に部下の行動を観察することで、徹底的に情報収集していくことが求められる。

SBI情報

フィードバックをするときに必要なデータとして部下についての「SBI情報」を準備しておくとよい。

  • S=Situation(シチュエーション)→どのような状況で、どんな状況のときに…
  • B=Behavior(ビヘイビア)→部下のどんな振る舞い・行動が…
  • I=Impact(インパクト)→どんな影響をもたらしたのか。何がダメだったのか。

情報のトライアンギュレーション(三角測量)

部下から得たフィードバック対象の部下の情報や自分のその部下への観察結果について、第三者にも一度話を聞いてみることが重要。皆がバラバラのことを言っていれば、その情報は、思い込みなどで間違っている情報である可能性が大きい。

耳の痛いことを言った後で無駄に褒めない

フィードバックが厳しい場になったからといって、無駄に部下を褒めない。せっかく指摘したことが台無しになる。フィードバックは、事実を淡々と述べるのが正解。フィードバックは、腹をくくり、逃げないこと。

感想

本書では、フィードバックに関しての基礎的な理論と、実在のマネージャーからのインタビューによる実績的な知見が紹介されており、部下を持つマネージャーの方には有益な本だと思う。自分はまだ部下を持ったことはないが、今の時代に部下を持ちたくないというのが正直な感想。

目次

  • 第1章 なぜ、あなたの部下は育ってくれないのか?
  • 第2章 部下育成を支える基礎理論 フィードバックの技術 基本編
  • 第3章 フィードバックの技術 実践編
  • 第4章 タイプ&シチュエーション別フィードバックQ&A
  • 第5章 マネジャー自身も成長する! 自己フィードバック・トレーニング
  • +特別コラム 現役マネジャーが語る匿名「フィードバック」経験談

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